エッセイ

Essay-10
長持ちする家

~長く住み続けるためには~

政府から「超長寿命住宅」と云われなくても、設計者としては、住み手にメンテナンスしていただき、なるべく長く住んでいただきたい、と思っています。
そのためには居心地の良い家である事は勿論のこと、堅固な構造とメンテナンスしやすいつくり、そしてその家に愛着がもてることが必要だと思っていました。
でも、世代を超えて長く住み続けていただくには、もう一つ重要な事がある、と云う事に気付きました。

写真の住宅は大正時代の末に建てられ、昭和の初めに増築した約90年ものの住宅です。
設計は旧帝国ホテル建設の時にフランク・ロイド・ライトを補佐した遠藤新によるものです。

現在の住まい手は2代目にあたる息子さんご夫婦。
そして最近、バイオリニストである娘さんのための音楽室が遠藤新にゆかりのある建築家によって増築設計され、それとともに、原型を壊さないように耐震補強もされたと云う事です。

長く住んでいればいいところも悪い所もいろいろと感じるでしょうが、三代に渡って住み続けていく住宅に必要なもう一つの要素とは何だろう?

建てぬしの方の誇らしげなお顔を拝見して、それは、その家に住む事が「誇り」に思える、ということだと判りました。

遠藤新は幸せ者だなあ。

かなりハードルは高いですが
私も、そう思ってもらえるような住宅を設計していきたいと思います。